[掲示板: 〈過去ログ〉多読による外国語教育 -- 最新メッセージID: 1456 // 時刻: 2024/11/25(11:59)]
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お名前: ren
投稿日: 2004/7/13(03:07)
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初めて投稿します。自己紹介をかねた長文です。今まで書こうと思いながら、できませんでした。でも 今日は書かずにはいられない気分です。
私が初めて酒井先生の本を読んだのは「どうして、、、」の本でした。文庫のくせにやけに高いなあと思ったものでした。本の最後の方に当時はやっていた映画「スピード」の解説がついていましたからもう大分昔にになりますね。「快読100万語」は2003年の春に横浜紀伊国屋で初めてみて、さっそく読みました。「すごいなあ とうとう酒井先生はやったんだ。」というのがそのときの感想です。さっそく学校の図書室へいれてもらいました。私は高校で英語を教えています。自分でもこの5,6年話す英語、聞く英語が上達してきたような気がしていたので、これをどう生徒に伝えることができるのか考えていました。私の場合は多く聴くことをしたら力が伸びてきたようです。ケーブルテレビを入れて毎週同じ番組を何回か英語で聞いているうちに一つ英語の階段をあがったような気になりました。高校生にどうしたら英語の力とくに聞く話す力をつけてもらえるか、多読もひとつの方法かもしれないと思い、授業も試行錯誤を続けていました。
多読の存在をはっきりと知らされたのは実は2004年の1月に100万語達成者のある生徒さんを知ったときです。彼女は私の学校の生徒さんでした。全くの偶然でまさにその図書室でその生徒さんにめぐり合いました。彼女はなんと2003年5月にたのんでいれてもらった「快読100万語」を読んで多読をはじめて2003年の秋に100万語達成して、見事志望校にも合格していたのでした。彼女のおかげでちょっぴり教師の喜びを味わうことができました。そして青少年の正しいものを見抜く力と実行力には感心してしまいました。
このことに勇気付けられて2004年4月から3年生の英語のリーディングの授業は教科書以外に易しい短い話を取り上げました。"I am planet earth"などもとりあげ暗唱するように勧めました。最初のうちはよかったのですが、私の授業がまだ試行錯誤の段階で、形式が確立していなくて生徒も困ったのでしょう。だんだん生徒の抵抗が始まりました。「もっと教科書にそってやってほしい。」「もっと受験に役立つ文法を!」「何をやっているのかわからない。」「やさしいことではなくて難しいことをやってほしい。」その生徒の声は親や学校にまで広がったのでした。
このときほどつらかったことはありません。今までどおりの英語の教え方、つまり、自分が受けた英語の教育の結果、英語が 話せない、聞けない、速く読めない、書けない、という人がたくさんできて、本屋さんには大量の英語学習本があふれているのに、一番わかってもらいたい生徒から、抵抗をうけるとは思いもしませんでした。幸い校長先生が理解のある方で、なんとか持ちこたえることができました。もし運が悪ければどうなっていたかと思うとぞっとします。
長く続いたトンネルが意外なところから光がみえてきました。短い文章を紹介して暗唱を生徒に勧めていました。そのときに、「100万語」からアイデアを頂戴して、1語暗唱するごとに0.1点を加算するといったのです。つまり100語の文章を暗記すると10点獲得するわけです。そういってもなかなか生徒は暗記してくれません。ところが、3年の1学期どうしてもいい成績をとりたい生徒がそれに食いついてきました。つまり推薦入試を受ける場合3年の1学期の成績がとても重要なのです。初めは点数につられていた生徒のうち少しづつ暗記がうまくなる生徒があらわれたのです。英語の文章を暗唱するのはなかなか大変なことですが、やっているうちに少しずつ上達します。全体の筋をつかんでまた細かいことにも注意しなければなりません。何よりも文章の意味がわかって場面を想像できないと絶対に暗唱はできないのです。そういうことが生徒の暗唱を聞いているうちにわかってきました。苦しい暗唱は楽しい多読とは違うけれど似ているところもあるのかもしれない。たとえば"I am a star"では絵本をみながら、読むと覚えやすい。と生徒はいっていました。
それから、受験生にはこのような易しい文は必要ないという生徒にも説明ができるようになりました。
たとえば分詞構文。「君は長い文章の中から分詞構文を抜き出すことはできるかな。」「分詞構文はあまり原則がないのでぬきだすのは難しい。」「私は読んでいるいるときに分詞構文だと自然にわかる。それは分詞構文でない普通の易しい文が頭にしみ込んでいるので、それと違うむずかしい分詞構文が浮き出てくるのよ。」「でも、入試では分詞構文を抜き出せ なんて問題はありませんよ。」「その通り、分詞構文とわからなくても、英文から、作者の意図を読み取れればいいのだから、頭の中で文の構造を考えなくても読めるようになるほど読みなれればいいのです。」ちょっと無理なこじつけですが、言いくるめられるようになりました。
暗唱をしてくれる生徒は圧倒的に女生徒が多いです。男子は屁理屈をつけて暗唱をいやがります。そういう年頃なのかもしれません。
理屈で英語を理解したい生徒に暗唱を押し付けるのはよくないかもしれません。ただ、英語は理論だけでなくて大量に触れることも大切なのだと思います。
英語文章丸暗記に反論する生徒に意外なところから手ごわい敵が現れました。あの超勉強法の野口先生が超英語法という本で英語文章丸暗記をすすめています。
なんだか、酒井先生の多読方式とはそれてしまった気もしますが、私は酒井先生の意図する方向は正しいと思います。自分の英語の上達の経験から確信するのです。ですが、この経験をしていない人に説明するのは難しいのです。おそらく、酒井先生も説明するのに困難を感じられたことがあるのではないかと推測します。英語を大量にシャワーのように浴びると頭の構造がどこか変化するのでしょう。でもただ、意味もわからずにやるだけではだめなのですねえ。ここのところをどう説明したらいいのでしょうか。
暗唱は英語に接するにはいい方法だと思います。暗唱が楽しいと思えるようになれば、いい方法だと思います。暗唱を毛嫌いする人には向いていないかもしれません。そういう人には多読がいいかもしれませんね。でもなぜか、受験生はやさしい事を馬鹿にして難しいことをやりたがるのです。
生徒に愚痴ると「先生、先のことを考えろといっても無理だよ。僕たちの目の前に受験の山が聳え立っていて、その先は全然みえないんだもの。」
でも時代は進んでいくものだと信じています。なんとか今を持ちこたえて、次の世代は自分たちよりましな英語の教育を受けられるようにしたいです。
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