小学6年生に「多聴・多読授業」やってみました

[掲示板: 〈過去ログ〉多読による外国語教育 -- 最新メッセージID: 1456 // 時刻: 2024/11/24(07:00)]

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1074. 小学6年生に「多聴・多読授業」やってみました

お名前: 古川@SSS http://www.seg.co.jp
投稿日: 2007/3/6(02:02)

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 古川@SSSです。

小学校で多少英語をやっていた人8名、小学校で英語をやっていなかった人
3名計11名を対象に、3週間、週1回2時間30分の多読授業をやってみま
した。小学校で英語をやっていた子も絵本を読んだことがある子は、ほとんど
いません。さあ、3週間で、どの位読めた(聴けた)と思いますか?

(0) 導入
まず、日本語では、ひらがなと音がほぼ1対1に対応しているけど、英語では、
綴りと音の対応が違うこと、だから、CDの音をよく聞いて真似て発音するこ
とが大事と話しました。次に、Oxford Reading Treeのシリーズがどうして作ら
れて、舞台はどこで、主要登場人物は誰というORTの簡単な紹介をしたあと、
ORTを中心とした読みに入りました。

 授業は、3日間とも、原則次の(1)-(7)をやりました。

(1)ORT(Oxford Reading Tree) の一斉読み
  全員に1冊づつ同じ本がゆきわたるようにしました。その上で、
  1週目 ORT1 12冊 2週目 ORT1+ 6冊 3週目 ORT2 6冊
  1冊につき、1回目はCDを聴きながらページをめくるだけ
  2回目から4回目は、CDを聴きながら音読をしてもらいました。
  英語が初めての子が少なかったせいか、最初からみんな大きな声で音読
  していました。初めての子もそれに引っ張られてかなりきれいな音で読
  んでいます。
  最初に、各ストーリの状況だけを日本語で説明し、あとは、読むだけで、
  語彙の説明も文法の説明も全く無しです。ですが、4回も読むので、英
  語が初めての子もなんとか内容は理解していたようです。
最終日だけ、CD伴奏なしの自力読みにも挑戦してもらいました。
  なお、一斉音読時には、発音の矯正とかはしませんでしたが、チョコレ
  ートの発音だけ全員カタカナ読みになってしまっていたので、何度か音声
  を聞かせて、真似してもらいました。

(2)読書記録の記帳・チェック・対話
  一斉読みが終わった後、初日は、読書記録手帳の記入の仕方を説明し、
  2日目以降は記録のチェックをしながら本の感想を聞きました。

(3)ORT3 のStorytelling
Native Speakerの講師の人に、ORT3 から1冊ずつ、毎回10分程度で
  読み聞かせをしてもらいました。ORT3になると、小学校で英語をちょっ
  とやっていた子も知らない単語の続出ですが、Nativeの先生の巧妙な
  説明で内容もかなり理解できていたようです。
  読み聞かせのときの生徒の集中度はすごいものです。みんな真剣に
  ビッグブックを眺めています。多読入門期の読み聞かせの魅力は、いく
  ら強調しても強調しすぎることはないですね。

(4)CD付の自由読書
  授業前にきた子には、授業まで、CTPの絵本を読んでもらいました。
  CTPにしたのは、メロディ付なので、英語初心者になじみやすいと思った
  からです。
  初日と2日目は、ORTのストーリになじんでもらうために、ORT1-3から
  自由に選んでもらって読書してもらいました。ほとんどの子は、読書が
  初めてなので、ORT3は無理だったみたいで、ORT1,ORT1+,ORT2 を中心に
  読んでいました。
  最終日は、ORT1-3,Sprinboard 1-3, Cambridge Storybooxs 1-3,CTP1-2,
  100 Englishの中から自由に選んでよんでもらったところ、
  8割の子供が CTPを選択、2割の子が ORTを選択しました。
  YL的には、ORTの方がやさしいのですが、音楽と効果音があるので、
  CTPの方が魅力的だったのでしょう。 CTPを選ぶ子が多かったので、
  急遽、JY Books の絵本、Scholastic の絵本など、録音テープが
  さらに魅力的な本を持ち出して読んでもらいました。みんな、カセット
  テープを初めてみた子ばかりなので、カセットテーププレヤーの使い方
  に戸惑っていましたが、「贅沢な音源」はやはり大人気でした。
  特に、"Chika Chika Boom Boom"を聴きながら、ハミングし、体を動か
  していた男の子が印象的でした。"Chika Chika"は、英文自体はかなり
   難しいのですが、メロディがいいですからね。楽しい「絵本+音声」の
  力は、読み聞かせと同等の力がありますね!

(5)Phonics Jingle のシャドーイング
  松香フォニックスの"Active English"のDVDを使って、Phonics
Jingle のシャドーイングを初日と2日目の授業の最後に15分ほど
  行いました。
  ですから、授業の流れとしては、
   一斉読みの本の説明、一斉音読、休憩、個別読書、シャドーイング
  というパタンになります。

(6)休憩
  20分の休憩時間中も、多くの子が、日本語の本や英語の本の読書の続き
  をやっていました。日本語の本では、ダレンシャンやデルトラを読んで
  いる子がいました。

(7)本の貸出、課外読書
  1週目と2週目は、
   Sprinboard 1パック(8冊)
   Cambridge Storybooks 1パック(6−9冊)
   CTP 1−2パック(6−12冊)
   100 English 1−2パック(4−8冊)
 を適当に貸しました。少ない子でも、24冊は貸し出したことになります。
 (このクラスだけで、210冊の貸出)
  ほとんど全員が、すべての本を家で読んできていました。小学校6年の
 この時期なので、親が細かく、読書を管理したのかと思って、何人かの親
 に聞いてみたところ、なんと、子供が勝手に本を読んでいたようです。
 保護者の方からは、「読ませるだけよいのでしょうか?」という質問をた
 くさんされました。「まだ、この時期は読ませるだけでいいですよ。」と
 答えておきました。 
  最終日、Scholastic や JY Books のCD付の本は借りれないのかと多く
 の生徒に言われてしまいました。次の授業までに、音楽付の絵本を買い足
 さなければ。。。。

3日間の講習を終えて、多くの子が100冊以上の読書をしてしまいました。
読書語数は3週間で
5036,5190,5525,7217,7593,8153,8155
といった具合で、小学校で英語をほとんど全くやっていなかった子達で、
5000語、小学校のとき少し英語をやってきた子達は、7000-8000語の量を
読んでしまいました。現行の中学3年間の教科書の総語数が7000語位なので、
中学3年分の教科書を1回読む量と同じくらいの語数を3週間で読んだ子も
でたということになります。

量もさることながら、"When Cows Come Home","Leo the Late Bloomer",
"Ten Little Monkeys","The Roly-Poly-Spider"のような歌付の絵本を
楽しそうに読んでいる子供たちの姿をみていて、この子たちに良い英語体
験を与えることができて本当に良かったと思いました。
春期講習からは、Nativeの先生によるAll Englishの授業です。今年も英語
が好きな子供たちがどんどん育つよう、頑張りたいと思っています。


▼返答


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