本を読むのに必要なことは「書を捨てて街に出よう」

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS タドキストの広場 -- 最新メッセージID: 9999 // 時刻: 2024/11/23(17:44)]

管理用 HELP LOGIN    :    :


上へ上へ | 前のメッセージへ前のメッセージへ | 次のメッセージへ次のメッセージへ | ここから後の返答を全表示ここから後の返答を全表示 | 返答を書き込む返答を書き込む | 訂正する訂正する | 削除する削除する

7794. 本を読むのに必要なことは「書を捨てて街に出よう」

お名前: 道化師
投稿日: 2003/11/14(18:48)

------------------------------

優香さん、(たぶん)はじめまして。道化師です。

きっと「本を読む」と言う行為は、図式的に書くと

1.字面を眺める。
  ↓a
2.内容を把握する。
  ↓b
3.理解する。

こんな構造になっているのでしょうね。
そして、速読に関係するのは、きっと↓aの過程での問題ですね。
例え、優香さんでも、今の読速の2倍の速さで読めと言われたら、
2は得られないでしょうから。

〉ええと、一部の方はご存知かと思いますが、わたしはとても本を読むのが早いです。
〉これは昔からの習性で、特に意図して速読しているわけでもないのですが、普通に本を読んでいても早い(らしい)です。
〉で、とある人に

〉「それで本当に理解できてるの?」

〉と聞かれて、思ったのですが。
〉理解ってなんでしょう???

この質問をされた方は、↓aのスピードの問題で、
3を語ろうとしたのでしょうけれど、これは誤解だと思います。
そして、英語の多読でよく問題になるのも、↓aの過程の問題です。
(知らない単語が多すぎて、何が書いてあるのか解らないと言った事です。)

↓bの過程は、読速とはまるで関係のない作業が、
頭の中で行われているのですから。
例えば、今までの自分の経験と照らし合わせるとか、
既に知っている知識から類推するとか・・・です。

〉本を読むのと理解するの、一緒でないといけないんでしょうか。

だから、その本を読む目的によって、求められている段階が、
2なのか、3なのかが違うでしょうから、
必ず一緒でなければならないと言う事はないでしょう。

例えば、仕事の為にどうしても必要な資料として、
読まなければならない本ならば、2で済ませられる事が多いでしょうし、
必要に迫られる訳でもなく、自分の貴重な時間を割いて、
自分の「楽しみ」の為に読む本であれば、3まで行かなければつまらないでしょうね。

こう考えると、

〉たとえば、冒険ものとかミステリーとか、心情的にも理解できて、話の筋もだいたいわかる。おもしろかった。
〉これって「理解している」に入りますか?

これは「理解している」(つまり3)でしょう。

〉たとえば、恋愛物で、書いてることはなんとなくわかるけど、ぜんぜん心情が理解できない(話の展開の理由もさっぱりわからない)。つまらなかった。
〉これは読破して、なおかつ筋がわかっていても「理解できていない」に入るのでしょうか。

これは2の段階で止まっているのでしょうね。

〉たとえば歴史書で、読んでるときは覚えているけど、読み終わったと単に登場人物の名前も関係もすっこーんと忘れた。むつかしかった。
〉これはやっぱり「理解できていない」のでしょうか。

先程書いたように、何故この歴史書を読むのかによりますが、
小説・文学ではない「知識の吸収(情報の収集)」が主になる読書では、
次ぎに同じ知識(情報)が出て来た時に
(この例だと、登場人物の名前ですね。)
「前に読んだあの本に書いてあった人だなぁ」
程度の記憶が残れば、3の理解として良いのではないでしょうか。
(つまり、自分の中に情報のインデックス(索引)が出来れば、と言う事です。)

〉うまく言葉にならないんで、変な文章になっているかと思うのですが、「理解している」という言葉がひっかかってしまって、なんか和書も洋書も読んでいてつまんないです。

〉「早く読んでも理解できてないんじゃしょうがないよね」

速く読んで、当面の問題の解決に必要な情報が何処にあるのかさえ、
解っていれば、しょうがなくないですよね。

〉この言葉がひっかかってしょうがないです。
〉おもしろいとか、なんとなくわかっただけじゃだめなのかな・・・
〉とか思いつつ。

本を読んで「おもしろい」かどうかを問題にするには、
3の段階まで行く必要があると思います。
そして、3に行く↓bの過程で問題になるのは、
読む速度ではなく、読むこちら側が持っている
「経験、知識、問題意識」でしょうから、
その自分が持ってるものを如何に増やすか?が問題でしょう。
その為には、本を読む自分が、自分の生活・人生の中で
様々な経験を積んで、問題意識を養っていかなければならないのでしょうから、
読む速度を遅くしたからと言って、解決される問題では無いと思います。

だから・・・

〉・・・仕事に戻ります。

寺山修治では無いですけれど、
「書を捨てて(ついでに仕事も捨てて)街に出よう」
とするのが、より本を「楽しむ」為の唯一の方法のような気がします。


▲返答元

▼返答


Maintenance: SSS 事務局
KINOBOARDS/1.0 R7.3: Copyright © 1995-2000 NAKAMURA, Hiroshi.