道化師さん、ありがとうございます

[掲示板: 〈過去ログ〉SSS タドキストの広場 -- 最新メッセージID: 9999 // 時刻: 2024/11/23(20:43)]

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7397. 道化師さん、ありがとうございます

お名前: 杏樹
投稿日: 2003/11/3(20:08)

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道化師さん、こんにちは。

〉1周年おめでとうございます。

ありがとうございます。

〉多読(による英語習得法)には、先日来、たこ焼さんとの「停滞裁判」を通して、
〉語数の経過と時間の経過の二つの側面があると最近思う事もあり、
〉時間的経過のくぎりでのご報告を興味深く読ませて頂きました。
〉(1ヶ月で100万語と1年で100万語では、自ずと学習者として抱える問題もまた違う部分があるでしょうから)

「停滞裁判」は読みごたえがありました。多読の退治法から裁判に持ち込むなんてすごいと思いながら読んでました。

〉杏樹さんは、今読んでいる本のレベルを意識されながら読まれるのですね。
〉レベル査定者向きですね。
〉私には「読めるか」「読めないか」があるだけで、「レベル○だから」と言う意識が無いものですから、感心します。
〉(もっとも、象のような歩みで読んでいるのもので、「読めない」もあまり解らないのですが)

レベルの高いものがまだまだ読めないので、目安がないと本が選べないんです。

〉「行き詰まったり悩んだり」と「停滞」には違いがあるのですね。何だろうなぁ?
〉行き詰まったり悩んだりしても、日々読むペースには変わりが無いと言う事でしょうか?

この前行き詰まった時は、ブッククラブに入っていたので絵本やMGRやMTHをどんどん借りて読んでました。ですから語数は停滞していなかったのですが、「もっと面白い本はないかなあ」と思い、何を読んだらいいかわからなくなっていました。私が行き詰まっている時は、ちょうどいいレベルの本や面白い本が見つからない時です。読む気がしなくてなかなか語数が増えない、読まない日が何日も続いている、というのが停滞ではないかと。

〉例えば英語圏に「100万語読めばあなたも日本語の文庫本が読めるようになる」と言う本があったとして、
〉その時、どんな文庫本が想定されているかによりますよね。
〉現代の流行作家にしても赤川次郎の三毛猫ホームズみたいなものもあるし、京極夏彦みたいな作品もある。
〉どちらも「同じ文庫本」として括るには、学習者としては無理があるような気がします。
〉それとペーパーバックも同じなのでしょうね。
〉きっと試されていないだけで、シェルダンの簡単なものくらいなら、杏樹さんなら読めるのでしょう?
〉(シェルダンを読みたいと思うかどうかは、別問題ですが)

実は、シェルダンは読む気がしないんです。でもダレン・シャンや「Giant Peach」がまだちょっと難しいのを何とか読んだ、という状態なので、読めるとは思えないんですけど。

〉〉では多読法の利点とは?
〉〉まず費用の点では、英会話学校に通ったり英語教材を買い込むことを思えば、安くはないにせよ決して割高ではないでしょう。ブッククラブや貸し借りに頼らず自費購入をすると大変ですが、他の英語教材で英語を勉強する費用を本の購入に回すと考えればいいわけです。

〉ブッククラブを利用するとは圧倒的に安いですよね。私はいまだにブッククラブ3期分の会費36000円と、
〉20冊程買った書籍15000円しか費用的には多読にかかっていませんから。
〉(オフ会参加のために、妻のご機嫌伺い用の費用は、それ以上にかかってるかもしれないですけれどね)(笑)

どういう方法で読むかによって費用は大きく違ってきますね。特に自費購入とブブッククラブ利用。

〉効率の善し悪しは、学習者が持つ目標と言うか、どういう状態を「英語が出来るようになった」と思っているかによるのでしょう。
〉英語の本を読む事に関しては、「多読法」によること以外に、他に方法があるのでしょうか?
〉受験英語は実際に英語の本を読むのに役に立たないと言うのは、皆さん言われていることですが、
〉それでも酒井先生が多読を提唱されるよりも、ずっと以前から英語の本を読んで楽しんでいる人は何人もいた筈です。
〉(例えばsakigoroさんですね。)
〉だから、「酒井先生が提唱し始めた多読よりも先に、英語の本が読めるようになる方法があったはず」と考えがちで、
〉その「あったはず」の架空の方法との間で、効率が良いのかどうなのかを考えてしまうと思うのですが、
〉そんな「あったはず」の架空の方法なんて、現実には存在しないと思うんです。
〉英語の本を読めるようになるには、酒井先生が生まれるずっと前から「多読」しか方法はなかったし、
〉実際読めるようになった人たちは「多読」をする事で、読めるようになったのだと思うのです。
〉ただ、その読めるようになった人達が「多読」をしたから読めるようになった事に自覚的であったかは別問題です。
〉多読したから読めるようになったと思った人もいたでしょうし、
〉地道に単語を丸覚えしたから読めるようになったと思った人もいたでしょう。
〉でも、その人達が読めるようになった理由をどう考えているかとは別に、
〉読めるようになった人が皆、「多読」をしている事は事実なのだと思うのです。

なるほど。
しかしその、今までに「多読で読めるようになった」人たちというのは特別英語を勉強して、特別英語の本を読んできた人たちなのではないでしょうか。その人たちは勉強したり辞書を引いたりしながら一生懸命読んできたかもしれませんが、それができるのはほんの限られた人だと思います。
それに私は多読前に英語の本を読んでみましたし、辞書を引くのも苦痛ではありませんでした。しかしどうしても内容が理解できません。難しいんです。ですから英語の本を読むためにはもっと勉強しなくてはいけないんだと思いました。まず勉強、そして力がついたら英語の本を読む、これが従来の「英語の本を読む」ようになるための手順だったと思います。そして「英語の本が読める」レベルに達してから「多読」をしてきたのではないでしょうか。
SSSの多読法はこの「最初に英語の勉強して、それから読む」という順番をひっくり返したのが画期的だと思います。

〉余談ですが、以前からオフ会で酒井先生にお会いすると話していたのですが、
〉酒井先生が英語教育者に嫌われる理由も、まさにここにあると思うのです。
〉つまり、実際読めるようになった方法が「多読」であると自覚的な人は、
〉今実際に自分がしている教育が「読めるようになる事」と無縁な事を知っていて、教育している訳ですから、
〉自分のしている教育の矛盾をあからさまに指摘される事になるでしょうし、
〉「多読」に無自覚に読めるようになった人は、「そんな事は言われなくても知ってるし、それよりも重要な事が・・・」
〉と思うでしょうし、
〉「多読」の経験の無い英語教育者は、自らが「英語の本を読んで楽しむ」事が出来ない事を白日に晒される訳ですから。
〉とにかく「一子相伝の秘伝」をばらまいたように受け止められているのが、嫌われる理由なのだと思います。

ふむふむ。
結局いずれにせよ酒井先生の多読法は教育者には受け入れにくい構造になってしまうというわけですね。

〉〉それから、これからの多読法のあり方についてですが、もともと多読は「ペーパーバックが読める」というのがうたい文句になっているようですが、それを見直してもいいのではないかと思います。
〉〉というのは、まず多読を始めた人には、今まで英語学習に挫折してきた、英語が苦手だった、という人が多く、そんな人でも楽しく英語の本が読めるのが、効果を上げているポイントです。最初からはっきりとした目標本があるならともかく、必ずしもペーパーバックを「ゴール」とか「最終目標」にしなくてもいいのではないでしょうか。むしろ自分のレベルにあった本を選び、「英語の本を楽しく読む」ことを目標にした方がいいのではないかと思います。

〉これは人によって様々ですね。私のような生意気な中年親父は、
〉「児童書だったら、英語の本でも楽しく読める」では食いつかなかったでしょうから。

「食いつき」の問題がありますね。
「英語の本を楽しく読んで一生の趣味にしませんか」じゃダメかなー。

〉「辞書を引いて引いて引きまくれ」の本の奥義は、そうすれば辞書をひきまくっても解らない事がいずれ悟れるから、
〉そうすれば読めるようになると言う事なのでしょう(笑)
〉とにかく「辛い」「苦しい」事を克服しないと何事かを達成出来ないぞと言う方法論は、
〉自分の「辛い」「苦しい」経験へのルサンチマンなのでしょう。
〉そしてそのルサンチマンの中に他者も引きずり込みたいと言う、ルサンチマン特有の傾向があるのだと思います。

「勉強は苦しくて大変なもの」というセオリーは強いです。特に語学は苦しいことを乗り越えて勉強するものだと言う思い込みがありますし、そうやって勉強してきた人ほど他人にも同じような苦労をするべきだと主張するようになりますね。

私は中国語はとても好きでがんばって勉強したいし、苦労してでも身につけたいです。しかし英語に対してはあまりそう思いません。ただ英語の本を原書で読みたいなー、と思って、読んでみたらやっぱり無理で、勉強しないと読めないのかと思っていたところに多読に出会いました。中国語は「勉強しないと読めない」と言われたらがんばって勉強します。でも英語なら「勉強しないと読めない」と言われたら出来ないと思ってあきらめたかもしれない。

〉学校教育と言う制度自体が、「人間的により良き人間を生む」事を目的にしている訳ではなくて、
〉「課題に対して何の疑問も無く、素早く解答を示す」訓練の場だと言うことは、
〉歴史に造詣の深い杏樹さんなら、既によくご存じの事と思いますが、
〉とにかくたかだかそういう場なのですから、「学校英語」云々を、そこで生計を得ている教師の方に言っても詮無いことでしょうね。

これは教師のせいだけではなく、やはり進学率が高い学校ほど評判がいいものですから、親や生徒も「進学できる学校」を求めているのが実情だと思います。

〉〉で、多読です。これの画期的なところはレベル0から始めることです。多読を始めた人で「チョコレート工場」が「世界一簡単」と感じる人はめったにいないでしょう。そういうレベルの人でも英語を読むことが出来るのです。そして「そういうレベルの人」が実はとっても多いんです。しかし今までの英語教材はそういう人の存在を無視してきたようです。あるいは英語の本はそんなに簡単に読めるものではない、という思い込みが支配的だったからでしょうか。

〉無視と言うより、そこには「選別」があるのでしょう。
〉選別し、残った人により教育を与える為の教材と言う事なのだと思います。
〉選別され権力構造の支配の中に入ることを許された人のみが、
〉特権的に「英語が分かる」事を許され情報を共有でき、
〉被支配者は、それを許されないと言う「構造」が、いまだにあるのだと思います。
〉英語に関しては、明治維新以降、特に戦後の歴史は、その構造そのものでしょう。
〉(「フルブライト留学生が、戦後の日本を造った」と言う説は、あながち大袈裟とは言えないと思います)

「選別」ですか。なるほど。

〉〉そりゃー私だって多読前でも辞書を引きながらがんばれば「チョコレート工場」は読めたかもしれません。つっかえながら、1日に数ページずつ何日も何日もかかって。そしてそれが英語読書と言うものだと思っていたでしょう。そして「英語の簡単な本、ってこんなに難しいんだ」と思ったでしょう。
〉〉しかしそんな苦行をしなくても、もっと易しいレベルから読む方法があることを、酒井先生以前には誰も考えませんでした。本当に画期的な英語習得法だと思います。

〉「易しいレベルから読む方法」であれば、特権的な方法であった「多読」が「誰でも」出来ると言ってしまったのが、
〉酒井先生の功罪ですね。(罪とは、勿論、あちら側から見た見方です。)

がんばって、苦労して勉強してきた人には許せない話かもしれませんね。
がんばらなくても楽しく本を読んでればそれでいい、なんて。

〉〉また、原則の一つ「辞書を引くな」というのも今までの英語学習の常識を破るものです。多読を始める前の疑問として、辞書なしでどうやって単語を理解したり増やしたりできるのか、というのはよく言われることです。それに対しては「辞書を引いても読めない本は読めない」と言っておきましょう。
〉〉私は多読前に辞書を引きながら英語の本を何冊か読みましたが、文章丸ごとわからない時は、いくら辞書を引いてもわかるようになりません。辞書を引けば本が読めると思うのは幻想です。辞書を引く心配よりも、自分が理解できる範囲の文章を読むことが大切です。

〉書物を読む、つまり「読書」と言う行為そのものが、書物を読んでいるようでいて、実はその行為の本質は、
〉その書物によって照らし出されて行く「自分の心」を読む行為なのだと、私は思っています。
〉だから、その書物によって照らし出される物が心に無ければ、
〉「辞書を引いても読めないし、読めても、解らない」事になるのでしょうね。
〉優しい児童書から読む、と言うのは、この点からも優れているのだと思います。
〉例えば、ヘッセの「庭いじり・・・」の本がどんなに優しい言葉で書かれていても、
〉今の私には理解は出来ないでしょうから。

確かに…。本を読む、ということは言葉のみを理解するのとは違いますね。

〉〉それから多読の効果を客観的に示す資料として、「ハリー・ポッター」を読んだ人を対象に統計を取るのはどうでしょう。「ハリー・ポッター」を翻訳が出る前に読みたいと思っている人は多いでしょうし、実際多読で読めるようになった人がかなり出るようになりました。

〉ウワッ、これはきついなぁ。ハリー・ポッターを読まなくちゃいけなくなりそうで。

読みたくなければいいんじゃないですか?
実は私もハリポタを読みたいとは思ってないんです。(をい)
調査のために読むというのは多読法の主旨にも反しますし、「楽しく読めた」と言う状態の人が対象になった方がいいと思います。

〉〉ということで、多読について思うことをつらつら書き連ねてみました。
〉〉2年経ったら何が読めるようになってるでしょう。

〉ということで杏樹さんの書かれていることと、噛み合っているのか心配ですが、
〉読んで思った事をつらつら書き連ねてみました。

興味深い意見の数々、ありがたく読ませていただきました。私の書いたことに対してかなり補足が出来たと思います。

〉それでは、楽しい2年目を!!

道化師さんもHappy Reading!


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