[掲示板: 〈過去ログ〉SSS タドキストの広場 -- 最新メッセージID: 9999 // 時刻: 2024/11/23(18:01)]
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お名前: みちる http://www.geocities.co.jp/Bookend-Soseki/3112/
投稿日: 2003/8/8(12:48)
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酒井先生、こんにちはー。
司馬遼とは、雰囲気は違うのですが、歴史物のおもしろい本を書くという
ことで、Edward Rutherfurdの本は面白いと思います。
日本語で読んで面白かったので、何冊か買ってあるのですが、どの本も
30-50万語級なのがちょっと難点です。
ただ、連作短編のように読めるので、一つのエピソードは3万弱でしょうか?
ちゃんと読んだのは翻訳の「ロンドン」だけなのですが、どの本も舞台が違う
だけで、同じような物語構成になっているようです。
原作もちょこちょこっと読んでいるのですが、英語自体はそんなには難しくは
ないです。ただ、固有名詞が多いので、時代によって読みやすかったり、
読みにくかったりという部分があります。
日本語だと上下巻で10000円もするのでとても買えませんが、英語だと
一冊になっていて、値段も1000円を切るのが魅力的。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0449002632/sss-22
代表作の「LONDON」英語でのレビューは当分あげられそうもないので、
日本語の感想をコピペですが、あげておきます。
(シェークスピアやチョーサーなどが登場したりというのもお茶目で楽しい本です。)
エドワード・ラザファード「ロンドン上」集英社(2001)
なんと、2000年以上もの間のロンドンが舞台となった壮大なスケールの小
説の上巻。物語のはじまりは紀元前54年。ローマ人がカエサルを中心とし
てやってくる。迎え撃つケルト人の一家の物語を少年を中心に描いたも
の。この少年に連なる家系、そこにクロスしてくる家系、いくつもの家系
の栄枯盛衰の模様が描かれていく。やや登場人物に甘いというか、うまく
運びすぎている気もするけれど、軽快な文章でスリルもあり、冒険もあ
り、恋愛もあり、裏切りもあり、厚き友情もありと、どんどん引き込まれ
ていく。この祖先に、この子孫かと悲しくなるような登場人物もいるが、
登場する多くの少年や、女性の魅力的なこと。上巻は1422年まで。有名人
の姿が、見られるところもまた、楽しい。
エドワード・ラザファード「ロンドン下」集英社(2001)
下巻は1530年代から始まり、1997年までが描かれている。上巻にくらべ
ると章ごとの期間が短く、同じ人物が、いくつかの章にかかわったりもす
る。宗教と政治と商業の三つの話題が多くて、少し飽きてしまった。読ん
ですかっとする話があまりなくて。もう一つ気になったのが、遺伝と環境
について。遺伝が重視されすぎているような家系があるし、環境が表れて
いないと感じる人物がいる。この親が、こんな思いで、こんな風に育て
て、こんな人物??と思う人が多いというか。なんとなく、浅田次郎さん
の歴史物と雰囲気が似ているかな。じんわり味わうというよりも、勢いよ
く読ませてしまう感じが。人物としては、リチャード・メレディスが好き
かな・・・。そして話としては、パーシーとジェニーの話がすごく好き。
下巻の中では、一番の純愛物語なのではないかしら?それにしても、2000
年の歴史を描いたというのはすごいことだと思う。なんとなく、時が流れ
て世代が移っていく様子は螺旋状の円にも似ているようだと思った。くる
っと一回りして、それでも、重なりはしない、そんな円のような。
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