[掲示板: 〈過去ログ〉オフ会参加募集・報告 -- 最新メッセージID: 14793 // 時刻: 2024/11/22(19:24)]
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おはようございます。akoです。紹介本投稿、行きま〜す。
■■「Black and White」■■ David Macauley (ISBN:0395521513)
(The Caldecott Medal受賞)
[url:http://www.amazon.co.jp/Black-White-Caldecott-Medal-Book/dp/0395521513/]
表紙をめくると、いきなり赤字で [WARNING:This book appears to......]
「なんの謎かけだろう〜?」と次をめくると、ページ前面は4つに分割され、
相互に全く関係のない、4つの主人公が登場。
は?
牛の影にかくれた泥棒、駅で汽車を待つ人々、
テレビを見ながら両親の帰りを待つ子どもたち、
初めての一人旅をする少年。
主人公の違う4つのお話が、別々に進みます。
そしてやがて、関係ないと思っていた4つのお話が、、、、、、、?
人生は、皆が自分の時間の主人公。
それは、泥棒くんも、牛たちさえも同じ…
このマコーレイという作者は、もともと、こちらの本(↓)で有名になったそうです。
■■「Cathedral」■■ David Macauley (ISBN:0395316685)
[url:http://www.amazon.co.jp/Cathedral-Story-Its-Construction-Sandpiper/dp/0395316685/]
巨大建築物の精密なイラストで、それは絵本というより、建築設計図。
カテドラルの細部に魅入ってしまいます。
しかしこの本は、イラストであり、建築解説でもありますが、
なんと言っても、「物語」なのです。
いえ、物語として、惹きこまれてしまった本なんです。
建築の途中の過程をあますところなく描いてあって、
まだ何も立っていない更地の場面、
これからカテドラルの建築に使う木材・石材の切り出し現場、
そしてカテドラルが少しずつ建ち上がって完成するまでの日々、
建設現場で汗を流した大量の人々の、壮大な体験を一緒に感じていくことができました。
中世ヨーロッパの街の様子、人々の服装など、時代考証も正確です。
熟練した専門職人から、十字軍の帰り道に現場作業員に借り出される人まで(笑)
状況もリアルです。世界史クラブ向け絵本です。
そして、ここからが本日、もう一つの本題の一冊。
このマコーレイ氏の見事な建築イラストに触発されて、
何と、日本の代表的仏教建築物である法隆寺を、緻密なイラスト絵本にした日本人がいたんです!
偶然の機会があって、少し前にこのことを知ったのですが、
マコーレイ関連なので、和書ですがぜひ紹介させていただこうと思いました。
■■「日本人はどのように建造物をつくってきたか 第1巻
法隆寺−−−世界最古の木造建築」■■
(西岡常一、宮上茂隆、イラスト:穂積和夫)
[url:http://www.amazon.co.jp/dp/4794201141/]
文章は小学生向けで、ふりがな一杯の読みやすい日本語です。
法隆寺が建設されたのは、今から1400年前。(千四百! 思わず漢字で再確認)
宮大工という、奈良や京都などで多く見られる日本の重要な木造建築物を、
釘や金具などの金属を一切使わず、ただ、木材の組み合わせだけで作ってしまうという、
日本の伝統の、そして驚異的な建築技術をもった専門の職業があって、
中には、創業1400年(また千四百!)という驚異的な長命企業もあるそうで、
宮大工技術というのは、日本文化の真髄の一つと言えるでしょう。
この本は、西岡 常一氏(1908年生まれ・故人)という優れた宮大工の持つ技術が、
建築学専門家の解説と、建築出身のイラストレータによって描かれています。
建設予定地を計画する場面、何も建っていない土地を整地する人々、
使用された道具の一つ一つ、奈良の生駒山から木材を切り出す場面、
木材を、イカダに乗せて川を流して運び、
その濡れた木材をどう乾燥させ、どう使うのか、
一つ一つ木のねじれ具合、反り具合といった木の癖まで読んでの配置を考え、
足場を組み、柱の一つ一つを削る多くの人々。
すべての作業途上場面で、かならず働く人間が描き込まれているので、
一つの建築を仕上げるためにどれほど大量の途中の過程があるのか、
どんな専門の職人が必要で、どれほど多くの人が関わって建てられたのか、
そして、人々が、どういう服装をしているかさえ一目でわかって、
まるで現場で見物しているような、リアルで凄い本でした!!
世界史クラブ:日本史部門推薦、特別和書です(笑)
外国人と交流するチャンスがあったら、日本のことを話したい。。。
日頃からそう思っているので、
こうして英語絵本の多読習慣から、予想外の本との出会いにつながって、
「知ることができてよかった!」「知るべきことに出会えた」
そういう充足感を感じました。
この和書が、いつかは英語に翻訳されて、
世界中の人に法隆寺のことが知られたらいいな、という願いを七夕のお願いにします。
(すでにあるのかしら…、
アマゾン洋書検索してみたんですが、それらしい本は見つけられませんでした。
ご存知の方いらしたら、教えてください。)
今回のご紹介本は、以上、akoでした。
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