文芸書のアンチョコと『リチャードを探して』

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1275. 文芸書のアンチョコと『リチャードを探して』

お名前: Ryotasan
投稿日: 2007/2/26(08:21)

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先日シェイクスピアの話題が出たときに紹介された『リチャードを探して』のDVDを観ました。その中でアル・パチーノさんが Richard III の学習ガイドを読んでいる場面が写ったので思い出したことを書いておきます。

米国の高等学校や大学では、文学や歴史の授業で出される課題として、有名な文芸作品の原書を読み、それについて感想や報告書を書かされることがあります。英語は日本語に比べると口語・文語の垣根は低いですが、それでも19世紀以前に書かれた長編小説や戯曲を読むのは簡単なことではありません。たとえ米国で育った人でも、普段から大量に読書をしている人でもない限り、読んで理解できるか、あらすじをまとめられるか自信が無い学生さんは沢山いるようです。そこで、有名な作品の要約と要点を解説した小冊子を利用する人がいます。

これらの小冊子、一応は作品を読むための手引き書として発売されています。小説であれば、作者の経歴、登場人物の紹介、各章ごとの要約、特殊な用語の解説、批評における論点などが、大人むけの簡単な英語で書いてあります。

現代の流行作家が大人向けに書いた長編などを楽しく読める人であれば、こういう小冊子を参考にしながら文芸作品の原書を読むという方法もあります。米国の学生にとっては抜け道かもしれませんが、日本で英語の文芸作品を読む人がこういう資料を参考にするのは悪くないと思います。僕は学生時代にこういう小冊子を見ながら、Somerset Maugham の Of Human Bondage や Jane Austen の Pride and Prejudice そして Thomas Malory の Le Morte d'Arthur などを読みました。翻訳書と違って細部まで明らかにはされていないので、物語の展開を楽しみながら原書を読むことができました。

こういう小冊子には、作品の中で使われている有名な文章の抜き書きなども入っています。それをうまく使って、作品を読まずに感想文や報告書をでっち上げてしまう学生も米国にはいます。授業での使用を禁止している教授もいるようです。日本で言えば受験参考書のような扱いでしょうか。

小冊子を執筆しているのは、博士号をもった専門家ですが、必ずしもその作家や作品を専門的に研究している人とは限らないようです。

出版社はいくつかあり、どれも大同小異だと思いますが、この種の小冊子で最も知名度が高いのは Cliff's Notes と呼ばれるシリーズです。黄色地に黒の縞模様が入っている表紙で知られています。『リチャードを探して』の中でパチーノさんが読んでいるのも、Cliff's Notes です。

以下はホームページです。

http://www.cliffsnotes.com/WileyCDA/


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