Re: 【雑談】星新一の話(つい反応してしまいます)

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12289. Re: 【雑談】星新一の話(つい反応してしまいます)

お名前: shin
投稿日: 2003/3/10(11:53)

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 最近、評伝、ノン・フィクションに凝ってるshinです。
なんか英語の多読と関係ないんで、ながながとやってはと思うのですが、ど
うも反応したくなってしまいました。

〉上に同じです。全部読みました。ただ一番好きなのは実は
〉SFショートショートではなくて、
〉「人民は弱し官吏は強し」(お父さんの生涯を描いた歴史もの)
〉なんですけど..

 いいですねー。私も昔、読みました。
 私も星新一のショート・ショートも好きでしたが、「祖父・小金井良精の
記」、「明治・父・アメリカ」、「人民は弱し官吏は強し」という、星新一
の身内を描いた3部作も好きなのです。読まれたことありますか?
 
 「明治・父・アメリカ」は絶版になっていますが、内容は「人民は弱し官
吏は強し」の前段。アメリカに渡った若き日の父の姿が描かれています。

 「祖父・小金井良精の記」は、文庫ですらでたことがないし、星新一の作
品であることすら忘れられているのではという位の本ですが、なんでこの本
が忘れ去られているのか・・・。
 小金井良精(よしきよ)は母方の祖父で、東大医学部で解剖学を教えた
日本近代史に残る教授。解剖学会の創設者だそうです。その母は、今とな
っては少し古びてしまったけど、一年ほど前には脚光を浴びていた「米百
俵」で有名な小林虎三郎の妹。
 良精の奥さん(星新一の母方の祖母)は森鴎外の妹。
 その祖父の伝記ですが、祖父への愛情があって、しかし、淡々と描かれ
ていて良かったですね。
 森鴎外がドイツで仲良くなってしまった例のエリス嬢が日本に訪ねてきてし
まった時も助力したらしいです。
 夜明け前を含め新しい時代の胎動が伝わってくる伝記です(良精の最晩年
は、お父さんの没落の時期と重なっていますが)。

 3冊を年代順に読むと、明治前後の胎動期・明治の青春期・そして官僚制
が覆いつくしてくる黄昏という感じで、ひとつの時代の誕生から死までを写
し取った趣のある作品群です。図書館に行けば置いてあるのではないでしょ
うか。
 これが書かれた時期は、うろ覚えですが、星新一は、ショート・ショート
から距離を置いて、時代小説を書いていたように思います。

 最近、サル人脈をたどってみたりしているのですが、とても不思議なつなが
りがでてくるんですよ。星新一とのつながりは、そういう中では傍流ですが、
つながるんで面白い。
 「人民は弱し官吏は強し」にでてくるお父さんの庇護者・後藤新平は鶴見俊
輔(この人は古川さん通われた中高校の遙か先輩らしいですね)の祖父だし、
SF作家の仲間だった小松左京は「日本沈没」の中で、サル学を始めた親分・
今西錦司をモデルにした爺さんを描いたと聞きました。
 京都という土地は、直に現実世界の役にたたない学問でものすごい成果をあ
げてきたんですね。恐るべし(今頃知ってどうなる)。
 「帝都物語」は創作ものだったけど、どうも「旧都物語」?という題で実録
のすごい話が書けるんじゃないかとさえ思えるくらいです。誰か書いた人はい
ないのかなあ?
 
 あー、ついつい、くだらないことを書いてしまいました。
 人物の活写されている実録ものってとても面白くなってしまって。
 申し訳ありません。


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