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お名前: jun http://members.jcom.home.ne.jp/j-miyaza/
投稿日: 2003/2/4(22:25)
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マリコさんこんにちは。はじめましてでしょうか?
マリコさんの自己レスの通り、「My Uncle Oswald」についての感想は「書評」にアップしてあります。この本についてはまだまだ言いたいことがあったのですが、「書評」であんまり長々と書くのはと思ったので、いささか遠慮しました。この機会に書いちゃおうかな(^^)。
これは悪漢小説の形で書いたポルノグラフィーのパロディなのかなと思います。なんて書きましたが、実は悪漢小説というのをよく知らないのですが、とんでもないやつがやるころなすことうまくいってしまうという小説かなと思っています。
大体、カサノバが三舎を避けるような稀代の色事師が、自分がいかにもてたかを語ろうというのですから、それだけで、みんなふざけるなと思います。そして、そういう書き出しをしておきながら、色事にはまず金が必要だ、ではまず俺がどうやって大金持ちになったかを教えてやろう、と回り道をするような風をみせて、実は最後まで金儲けの話しかしないで終わってしまうという小説の構造自体もとぼけています。
俺がどうやって大金持ちになったかという話だってみんなに嫌われるわけで、それを読ませてしまうダールの才覚というのは大したものだと思います。
開巻わりあいとすぐにMajor Grout が語るスーダンの奇談にひとりだけ乗れずに野暮な質問を連発する(度の強いめがねをかけたなんて書いてないですが、いかにもそういう感じの(^^))女の子がいますね。これが第一の笑いの場面かと思いますが、ここらへんで読者に自分はあんな野暮じゃないぞと思わせてひきずり込んでしまうあたりうまいですよね。
この小説には「罪の意識」がないです。無垢で邪気がないんです。ダールは宗教、少なくともキリスト教がきらいなんだと思います。「Boy」に自分をいじめた先生が出世してエリザエス女王だったかなの戴冠をおこなったという記載がありますね。「Boy」というのはあれが書きたくて書いたんじゃないかと思うくらいで筆誅です。
それで、この小説の中でも、無垢な芸術家が賛美されるわけです。プチ−ニの場面なんか、もうダールがプッチーニが好きで好きでというのが手にとるようにわかります。で、大言壮語風のひとが嫌われます。D・H・ロレンスとかバーナード・ショウとかフロイドとか。プルーストも嫌いみたいですね。あのバナナの場面はプルーストをバカにするために書いたようにぼくは思うのですが、ちょっとあざとい感じで、個人的には、やりすぎなように思います。
この小説を読んでいささかひっかかるのは偉大な芸術家は何をしても許されるのだという考えに傾いているようなところが透けて見える点です。ダールは芸術家に甘いですね。
おっしゃる通りこんなことを書いて関係者がいちゃもんをつけないかとひとごとながら心配です。スペイン王室からクレームがこないんでしょうか? 日本の皇室についてこんなこと書いたら、なんて考えただけでもおそろしいです。むこうは寛容なのかな?
マリコさんの書評も読ませていただきましたが、わたくしは、この小説は最初の数ページだけが、オズワルドの甥によるオズワルド叔父さんの日記の紹介で、そのあとはすべて日記の内容で、ヤスミンたちと冒険をするのもみなオズワルド叔父さん自身であると思って読んでいたのですが違うでしょうか? 根本的にどこかで読み違えをしたのかな?(^^)
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